看護師の仕事の中でも、ターミナルケアは精神的な負担が大きいことが知られている。新卒の看護師が最初からターミナルケアを担当することになり、辛くなって看護師を辞めようと考えてしまう人もいるほどだ。その懸念から、病院側の措置として、新卒のうちはターミナルケアを担当させないようにしている場合もある。しかし、ターミナルケアは、看護師になった年数が浅いうちに担う意義も大きく、積極的に取り組んでみるのもいいだろう。ターミナルケアは、看護師が最も活躍できる業務でもあるからだ。
もう余命が長くなく、治療も困難とされている患者のケアをするのは簡単ではない。患者の意図を汲み取り、できるだけ余生を幸せに過ごしてもらえるようにするのが看護師の役割となる。また、家族の意志も尊重して、どのようなケアをしていくかを考えなければならない。何をすれば患者や家族に喜んでもらえるかを常に考え、実践してみる必要が生じるのがターミナルケアだ。
このような経験を積むと、看護師が現場でどのような役割を担わなければならないかをよく考える機会が手に入る。初期に自分が果たすべき役割が何かを明確にし、自分の強みが何かを認識できると、活躍できる場面は増えるだろう。また、不足している能力もわかるようになり、看護師として成長していくうえでの目標をしっかりと立てられる。これからさらに看護師として高みを目指していこうと考えている段階でターミナルケアを経験すると、優秀な看護師になれる可能性が高まるのだ。