看護師と患者のコミュニケーションについて

看護師が患者に出会うとき、その多くが病気やケガを抱えている。生きている限り、誰しも不安や悩みを抱えているものだが、病院で出会う患者の不安は、体験した人しかわからないような苦しさを伴うものであるだろうことは想像に難くない。患者が自分自身でその不安に向き合うことができるのであれば、不安への対処に看護師の出番はない。しかし、患者を支える医療従事者の一員として、不安を抱える患者のそばにいるのであれば、患者の抱える不安を和らげようと誠心誠意取り組むことは、看護師の重要な仕事の1つだといえるだろう。

とはいえ、初対面や見ず知らずの信用できない人間に、自分の不安な心のうちなど誰もが明かすものではない。看護師の特徴の1つに、医療従事者の中でも最も患者の身近にいるということが挙げられる。業務の傍らで、昼も夜も身近に存在するため、細かなことでも患者と看護師がコミュニケーションをとる機会は必然的に多くなる。看護師として患者の表情や口調、訴えの様子を気にかけて見ているのであればなおさら、声掛けの回数なども増えていくことだろう。

看護師が患者の不安を和らげるために必要なことは、日々患者とコミュニケーションをとり、患者と信頼関係を築くことが第一である。その延長線上には、患者からこの看護師に自分の不安を聞いてもらいたいと思われるほどの信頼がある。そのような関係になった時、看護師が患者の訴えに真摯に耳を傾けて共感することで患者の不安が和らぎ、癒されていくのだ。